防犯カメラにも関わる保護等級IPってなに?

屋外保護

防犯カメラには屋内用・屋外防滴用・屋外防雨用と分類を大まかにしておりますがそれらを細かく記す物があります。それが保護等級IPです。保護等級IPは、機器の防塵・防水に関する保護を規格化しているもので、IEC(国際電気基準会議)規格で規定されている機器の保護等級を記号で示したものです。このページでは、当社製品の仕様にも関係する保護等級IPについて説明します。

目次
  1. 保護等級IPって?
    1. 保護等級IPの記号や見方について
  2. 第一特性(人体・固形物に対する保護等級)
  3. 第二特性(水の侵入に対する保護等級)
  4. 関連した豆知識
    1. 保護等級IPの表示例
    2. IPカメラの「IP」と保護等級の「IP」について

保護等級IPって?

保護等級とは、JIS(日本工業規格)、IEC(国際電気標準会議)によって定められた、電気機器内への異物の侵入に対する保護の等級です。IP68、IP65等と表記され、これは第一特性(人体および固形物に対する保護等級0~6)と第二特性(水の侵入に対する保護等級0~8)の組み合わせになっています。

保護等級IPの記号や見方について

このページの入口にも掲載している下記画像のとおり、「IP」という文字の後にある数字が2種並びます第一特性では「防塵性」、第二特性では「防水性」を示し、どちらかが該当しない場合はXで記します。さらにその後に付加文字・補助文字を記載する場合もあります。

屋外保護

IP68という表記の場合、第一特性数値が6、第二特性数値が8なので「粉塵が内部に侵入せず、製造者によって規定される条件に従って、連続的に水中に置かれる場合に適する」保護等級という事になります。

第一特性(人体・固形物に対する保護等級)

第一特性数値

0

無保護

特に保護されていない。
無保護の状態。
第一特性数値

1

50mm以上対固形物保護

人体の表面積の大きな部分、例えば手などが誤って内部の充電部や可動部に接触する恐れがない。直径50mmを超える固形物体が内部に侵入しない。
第一特性数値

2

12.5mm以上対固形物保護

指先、または長さが80mm 超えない指先類似物が内部の充電部や可動部に接触する恐れがない。直径12.5mm を超える固形物が内部に侵入しない。
第一特性数値

3

2.5mm以上対固形物保護

直径または厚さが2.5mm を超える工具やワイヤなどの固形物体が内部に侵入しない。
第一特性数値

4

1.0mm以上対固形物保護

直径または厚さが1.0mm を超えるワイヤや鋼帯などの固形物体の先端が内部に侵入しない。
第一特性数値

5

防塵形

粉塵が内部に侵入することを防止する。若干の粉塵の侵入があっても正常な運転を阻害しない。
第一特性数値

6

耐塵形

完全な防塵構造。
粉塵の侵入が完全に防護されている。

第二特性(水の侵入に対する保護等級)

有害な影響を伴う水の浸入に対しての数値になります。

第二特性数値

0

無保護

特に保護されていない。
無保護の状態。
第二特性数値

1

滴下する水に対する保護

鉛直に落下する水滴によって有害な影響をうけない。
200mmの高さから3〜5mm/分の水滴、10分でテストを実施。
第二特性数値

2

落下する水に対する保護

正常な取付位置より15度以内の範囲で傾斜したとき、鉛直に落下する水滴によって有害な影響をうけない。
第二特性数値

3

噴霧水に対する保護

鉛直から60度以内の噴霧状に落下する水によって有害な影響をうけない。
200mmの高さから60°の範囲10ℓ/分の放水、10分でテストを実施。
第二特性数値

4

飛沫に対する保護

いかなる方向からの水の飛沫によっても有害な影響をうけない。
300〜500mmの高さから全方向に10ℓ/分の放水、10分でテストを実施。
第二特性数値

5

噴流水に対する保護

いかなる方向からの水の直接噴流によっても有害な影響をうけない。
3mの距離から全方向に12.5ℓ/分・30kpaの噴流水を3分間。
第二特性数値

6

波浪に対する保護

波浪または、いかなる方向からの水の強い直接噴流によっても有害な影響をうけない。
3mの距離から全方向に100ℓ/分・100kpaの噴流水、3分間。
第二特性数値

7

水中への浸漬に対する保護

規定の圧力、時間で水中に浸漬しても有害な影響をうけない。
水面下・15㎝〜1m、30分間でテストを実施。
第二特性数値

8

水没に対する保護

製造者によって規定される条件に従って、連続的に水中に置かれる場合に適する。原則として完全密閉構造である。

保護等級IPに関連した豆知識

保護等級IPの表示例

IP66の場合

・防塵形なので粉塵が内部に侵入しない
・いかなる方向からの水の強い直接噴流によっても有害な影響をうけない
→台風などの激しい雨でも浸水の恐れがない防水性能の為、防雨型カメラの分類になります。

IP64やIP65の場合

・防塵形なので粉塵が内部に侵入しない
・飛沫/噴流水に対する保護、いかなる方向からの水の飛沫によっても有害な影響をうけない
→しぶきなどに影響を受けないため、軒下などで直に雨に当たらない場所であれば運用できるため、屋外防滴型の分類になります。

IPカメラの「IP」と保護等級の「IP」について

防犯カメラの分類の中に「IPカメラ」と呼ばれる種類の防犯カメラがあります。このIPとは、インターネットを通じてやり取りする通信方式、Internet Protocol(インターネットプロトコル)を略したものです。対して、保護等級で使われるIPとは、Ingress Protection(イングレスプロテクション)で侵入に対する保護というキーワードを略したものになります。

IPカメラのIP
Internet Protocol(インターネットプロトコル)
保護等級のIP
Ingress Protection(侵入に対する保護)