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火事の10%を占める放火。
寺ですべき予防は?

寺院、神社だけでなくほぼどのような場所でも火災事故の出火原因で一番多いのが「放火」である、と消防庁の刊行している消防白書に記載があります。放火による出火件数というのは年々減少していて、平成25年中の放火による出火件数は5093件で前年に比べ減少しているものの、全火災事件の約10%を占め、17年連続して出火原因の第1位となっているそうです。これに放火の疑いの数を加えると全火災の二割を占める数字になっています。
多くの出火原因について注意を払うことが重要で、さらに火災の早期発見や放火の原因となる屋外の燃えやすい放置物の排除等の予防が大切です。また、さらに予防を目的とした防犯灯・防犯センサー・防犯カメラ類の設置や放火を意識した設備、近年は木材を燃えにくくさせる塗料などもありますのでそのような対策の検討も必要でしょう。

寺の火事発生場所・原因

寺院などでの出火場所データを見ると本堂や本殿周辺での火災発生が多いです。多種多様な人が出入りしたり、寺院の建物自体の多くが古くからある木造であったりという環境が、火災発生の大きな要因になっていると思われます。

また放火でなく天災による火災もいくつか起こった事故があります。先ほど記載した消防白書にて天災による火災は、0.3%と書いてあります。0.3%はたかが0.3%されど0.3%で、非常に重要な数字です。

落雷はいつどこに落ちるのか完璧に予測することはできません。なので、防犯カメラで安全を確保……、と言いたいところですが防犯カメラでの警戒では、火災の内、落雷によるものは遠隔監視で判断することがとても難しい項目です。

落雷による機器故障の影響でその後のリアルタイムな遠隔監視が出来ないことがあるかもしれない為です。

落雷による火災、及び火災につながる懸念が僅かでもある場合には、通常の火災対応とは別で判断し、万が一を期しての現場での待機。早期に施設管理者への連絡を行う等の鋭敏な対応をはかることも必要ですので時としては防犯システムよりも人の手が有効手段であることを火災対策として頭に入れておくといいでしょう。

文化財防火デー

1月26日は文化庁と消防庁が定めた「文化財防火デー」というものがあります。

文化財を火災や震災その他の災害から守るとともに文化財愛護思想の高揚を図る目的で制定され、毎年様々な地域で重要な文化財を所有者・消防機関・地域が連携して消防用設備の点検および消防訓練を実施していたりしています。

この消防訓練は消防署との合同で行われ、バケツリレーを行う所や消火器の使い方、放水訓練などをします。

この「文化財防火デー」は1949年1月26日に、奈良県の法隆寺の金堂が炎上して貴重な壁画が損傷したことをうけて、55年に文化庁と消防庁が制定しました。以来、全国の文化財所在地でこの日を中心にして防火活動などが行われています。文化財だけでなく、地域の連携というものは大事です。もしもの時のために火災訓練などもしつつ、近所の住人でまず火事が起きないような警戒・見回りは大切でしょう。

放火事件の事例など

・名古屋市中川区の西照寺から出火し木造平屋の寺を全焼する火災があり、中川署は同日放火の疑いで同市の小学生男児(10)を児童相談所に送致した。中川署によると、警察などの規制線内で、うれしそうな表情で火災を見ている男児を近所の人が見つけ通報。署員が尋ねたところ「物が燃えるところが見たかった。ライターで火を付けた」と放火したことを認めた。出火当時、寺は無人だったといいます。

・2015年06月、倉敷市の宝福寺の車庫と中に駐車していた軽自動車1台が焼けました。消防が約20分後に火を消し止めましたが、木造の車庫と中に止めていた軽自動車1台が全焼し、さらに隣接する車庫の一部も焼けました。現場付近は夜、人通りが少なく火の気もないことなどから、警察と消防は放火の疑いも視野に午後から実況見分を行い火事の原因を調べる方針です。

・2015年7月。千葉市中央区の西千葉稲荷大明神で、のぼりが4本焼かれるなどの被害が相次いだ。警察によるとのぼりが焼かれていたほか、高さ240cmののぼりを立てるポールが折られていたり、おみくじの一部が焼かれていたり、警察は、同一犯による連続器物損壊事件の可能性もあるとみて捜査しています。

など最近でも放火の疑いがある事件は度々起きています。

文化財の防火や防犯対策は徐々に進んでいるとはいえ、国や自治体の指定を受けていない寺などは手が回っていない為個人や地域で出来る身近な防犯対策が必要でしょう。

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