老人ホームなどの福祉施設に監視カメラは必要?

老人ホームなどの福祉施設に監視カメラは必要?

総務省統計局が発表した2022年9月15日時点の推計では、日本の総人口は前年に比べ82万人減少している一方、65歳以上の高齢者人口は3627万人と、前年(3621万人)に比べ6万人増加し過去最多と記載がありました。
調査元:https://www.stat.go.jp/data/topics/topi1321.html
介護、福祉施設の施設数増加、利用者増加の傾向の半面──介護業界の人手不足が深刻化しており以前のような「事故防止・事故時の振り返り」だけではなく、省人化・工数削減のために福祉設に防犯カメラを導入したい。というお問い合わせが増加してきております。

監視カメラが福祉施設にもたらす、安心感あるサービス

このところ、福祉施設に監視カメラが導入されるケースが増えているようです。社会福祉施設は、個人のプライバシーと密接に関係する場。そこに監視カメラが導入される是非については、各方面のそれぞれの立場からいろいろな意見が発せられています。しかし、福祉施設への監視カメラ導入は社会の趨勢であり、福祉サービスの提供者と受給者の双方に大きなメリットをもたらすものであると考えられます。

まず期待できるのは、職員のモラルの向上です。高齢者の福祉施設で職員が高齢者に暴行を加えるようなニュースがありますが、監視カメラの設置によって、これらの事件は発生件数が抑えられるでしょう。また、暴行に至るまでの経緯も明らかになりますから、サービスを提供する側の意識や教育も見直されるはずです。この他にも、非効率的な作業や危険な処置、人間性を毀損する行為などのすべてが改善・修正されることが期待できます。これらは、施設の運営者はもちろん、サービスの利用者やその家族にとっても好ましいことです。何よりも、将来的にその施設やサービスを利用する人の安心につながります。

基本的に、社会福祉サービスの受給者は、社会的に立場の弱い人々です。福祉施設に導入が進む監視カメラは、このような人々の不安を軽減することに役立ちます。

プライバシーを確保した上での情報公開

監視カメラを導入し、その映像を関係者が閲覧可能にすることは、サービスの利用者にとって大きなメリットがあります。たとえば保育園での様子を子どもの父兄がスマートフォンで見られれば、大きな安心につながります。また、保育サービスの改善に繋がる意見が寄せられるきっかけになる可能性もあります。これらは、サービスの提供者にとっても有用なことでしょう。監視カメラという動画を公開できるサービスによって、父兄は保育所でどのようなことが行われているのかをリアルタイムかつ具体的に知ることができるようになります。自分の子の様子を知る手段として、これは非常に優れたサービスと言えそうです。

今でこそ待機児童の問題が云々されていますが、これからの日本は圧倒的な少子化の時代に突入します。その時、子ども関連の既存の施設は、利用者の確保で熾烈な競争を繰り広げることになるでしょう。その時、父兄に対して子どもの様子を公開・配信するサービスがある施設とない施設では、圧倒的な差が生まれます。監視カメラの画像公開には、プライバシーやセキュリティなど、乗り越えるべき課題は残っています。しかし、その課題の向こう側には、より安心できる環境が待っています。

トラブルやミスの履歴を確保する

現時点では、高齢者向けの福祉サービスに携わるスタッフは数が足りていない状態にあります。今後、高齢者の数が増えれば、その傾向はより鮮明になるでしょう。サービスを提供するスタッフが不足しているということは、サービスが必要な高齢者への目が十分に行き届かないということでもあります。こんな時、少ないスタッフ数で多くの場所をチェックできる監視カメラは大きな助けになります。たとえば、各個室、あるいは各ベッドの周囲に監視カメラがあれば、カメラを切り替えることで各ポイントを簡単にチェックできます。また、サービスを受ける側にも人の気配を察知せずに済むので、ゆっくり休めるというメリットがあります。

高齢者は、筋力は弱くなっているかも知れませんが、精神や頭脳が幼稚化しているのではありません。そのため、介護士などのスタッフによる必要以上の監視を嫌がる場面があります。しかし、目立たない位置に装備された監視カメラであれば、頻繁にチェックをしても本人の時間を毀損することはありません。これは、福祉サービスを提供する側にとってもメリットです。福祉施設、特に高齢者が集う施設では、日々小さな“事故”や“事件”が発生します。監視カメラは、これらへの対応を正確に行うことに役立ちます。介護スタッフが暴力を振るう場面などは論外ですが、これ以外にも高齢者同士のトラブルや高齢者の関係者と福祉スタッフ間の不具合など、人と人が交わる現場ではいろいろなトラブルが発生する可能性があります。

このような、時に裁判にまで発展する可能性がある小さなトラブルも、監視カメラの映像があれば早い時期に双方が納得し、解決できる可能性があります。この意味でも、福祉施設にこそ、高機能な監視カメラが必要であると考えられます。

労働環境改善に対して監視カメラの役割

冒頭記載した通り、状況の変化により近年防犯カメラの導入理由も多様化しております。
以前は、事故防止、事故の再発防止、暴行などの為にカメラを設置したい。という要望が多かったですが、「職員の業務改善、業務効率化、省人化」といった理由での、ご相談も増加しております。(2024年現在)

防犯カメラを設置することで、見回りの時間を削減したり、身に覚えのないクレームから守ることができたりすることができたりすることで、従業員の方の業務改善、効率化につながっております。

更にはAIを使って転倒を検知するサービスも開始されておりますが、やはりプライバシーの問題が高い壁としてあるようです。
共用の場所などへの設置は問題ありませんが、共用の場所はそもそも人目につきやすい為、異常があった際にはすぐに気づくことが可能です。

気付きにくい場所としては、トイレ、浴室、個室内など、プライバシーに対しての課題が切り離せない場所です。最近では安全とプライバシーを両立する為、カメラではなく、レーザーなどを使って、転倒を検知する。というサービスも提供され始めております。

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