マイナンバーの防犯対策について

マイナンバーのイメージ

いよいよマイナンバー制度がスタートします。マイナンバーの概要や目的については、これまでTVや新聞などで論じられています。しかし、その管理や防犯対策についてはあまり語られていないようです。マイナンバーは、一度決まったら簡単には変更できません。犯罪に悪用される危険もありますから、管理には十分な注意を注ぎたいものです。

通知カードの受け取りをチェック

ご存知のように、マイナンバーは社会保障や税、災害などの分野で活用される1人に1番号のシステムです。マイナンバーを導入することで、これまでは縦割りだった行政サービスで同一人物の確認がスピーディに行われ、効率よくサービスが提供できるとされています。しかし、マイナンバーは行政サービスの窓口でだけ使用するものではありません。マイナンバーは税の分野でも活用されます。このため、銀行や証券会社などでも諸手続きの際にマイナンバーの提示を求められることになります。そして、この番号と氏名、住所や生年月日などによって個人が特定されることになります。つまり、マイナンバーを他人に知られてしまうと、思いもよらない場所で自分になりすまされる危険性があるということです。

マイナンバーは、平成27年10月5日時点の住民票のデータから生成される12桁の番号です。この番号を書いた“通知カード”は、住民票の住所に順次送付されますが、その送付方法は簡易書留という、セキュリティ的に頼りない手段によるものです。簡易書留は手渡しが原則で、受け取り時には押印かサインが必要です。しかし、配達中の盗難や、受け取った後に封筒ごと紛失するなどのトラブルも考えられないわけではありません。特に、簡易書留の状態で紛失すると、住所、氏名、生年月日、性別、12桁のマイナンバーのセットを一気に失うことになります。これは大変危険なことです。通知カード単体では本人確認はできませんが、データベースに登録されるとその後の犯罪に利用される危険もあります。

マイナンバーの通知カードは、10月中旬から11月にかけて順次郵送されることになっています。もし、この時期を過ぎても通知カードが届かなかった場合は、何らかのトラブルが発生していることも考えられます。発送と受け取りの有無をチェックするのが、マイナンバーに関する防犯対策の第1歩目となります。

個人番号カードの管理に要注意

マイナンバーでは、役所から自動的に送付される通知カードの他に、“個人番号カード”と呼ばれるものもあります。通知カードは紙製のカードですが、個人番号カードにはICチップがついており、顔写真も入っているので身分証明書として使えます。もちろん、住所、氏名、生年月日などの記載もあります。ICチップが内蔵されているので多少はセキュリティで効果があるのかも知れませんが、しかし、その道のプロの手にかかれば情報を改竄することなどさほど難しいことではないはずです。

住所や氏名などの個人情報が書かれた個人番号カードは、いわば個人情報のデータベースへアクセスする鍵となるものです。個人番号カードは申請しないと交付されませんが、便利な場面も多そうなので、多くの人が交付の申請をすることになるでしょう。問題は、その管理が適切にできるか否かです。昨今はIT技術の発達によって各所に散らばる個人情報が集積され、それぞれが関連付けられるようになりました。ここにマイナンバーの12桁の数字が加わると、今までに無かったタイプの詐欺やなりすましなどの犯罪が起こる可能性も無視できません。富裕層に的を絞った詐欺をはじめ、予めターゲットを絞った犯罪が多発するかも知れません。

個人番号カードは、顔写真が入っているのでレンタルビデオ店などでの身分証明書としても使えます。しかし、裏に記載されている12桁の番号を店側が書き写したりコピーすることは禁じられています。マイナンバーの導入まもない期間は、店側もカードの持ち主もこれを知らずにコピーなどを許してしまうかも知れません。しかし、12桁の番号は非常に大事なものです。マイナンバーの使用には、使う側にも一定の勉強が必要なようです。

Web上でマイナンバーの利用をチェックできる、マイナポータル

マイナンバーに関しては、番号の利用履歴や利用者を自宅のパソコンなどから確認できるWeb上のサービスが予定されています。これが、“マイナポータル”です。マイナポータルは、平成29年1月からサービスが開始される予定です。サービス開始がまだ先なので詳細は不明ですが、マイナポータルの利用には、自宅のパソコンに個人番号カードの読取機をつなぎ、そこに個人番号カードを挿入して認証を得る想定のようです。しかし、アクセスに個人所有のパソコンを使う以上、ウィルスをはじめとする悪意あるソフトウェアの感染には十分な注意が必要になることは間違いがありません。

最近では、メーカー製のパソコンにユーザーの利用履歴を集計して自動的にサーバに送るソフトウェアが入れられていたことがニュースになりました。このような事実がある限り、自宅のパソコンを使ったマイナポータルの利用には十分な注意が必要です。マイナンバーに関しては、一般市民にとってどのような利点があるのか、今ひとつ掴みきれていないというのが市井の本音のようです。マイナンバーに関しては、今後ともしっかりと注目していく必要があるようです。

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