防犯カメラのビットレート(bps)とは?設定目安・録画容量・通信量を解説
防犯カメラの映像品質や通信量を考えるうえで重要になるのが「ビットレート(bps/bits per second)」です。
ビットレートとは、1秒間に送受信するデータ量を表す数値で、一般的には数値が高いほど映像を高画質に保ちやすくなります。
一方で、ビットレートを高く設定すると、インターネット回線の通信量や録画データの容量も増加します。特にネットワークカメラの遠隔監視や長期間の録画を行う場合、必要以上にビットレートを高くすると、通信環境や録画可能日数に影響することがあります。
そのため、防犯カメラでは「高ければよい」というわけではなく、解像度やフレームレート、録画期間、通信環境などに合わせて適切なビットレートを設定することが重要です。
このページでは、防犯カメラのビットレート(bps)の基本から、設定時に確認したいポイント、通信量や録画容量との関係までわかりやすく解説します。
- 防犯カメラのビットレート(bps)とは?
- データの通信?通信量って何?
- ネットワーク回線を選ぶ際のポイント
- 防犯カメラには「メインストリーム」と「サブストリーム」もある
- 【豆知識】ビットレートの種類
- 映像ビットレート
- 音声ビットレート
- オーバルビットレート(映像+音声)
- 固定ビットレート(CBR)
- 可変ビットレート(VBR)
- 平均ビットレート(ABR)
- 最大ビットレート(MBR)
- アダプティブビットレート(ABR)
- 防犯カメラのビットレートについてよくある質問
- まとめ
防犯カメラのビットレート(bps)とは?
ビットレートとは、1秒間に送受信するデータ量を表す数値です。
「bps(bit per second)」という単位で表され、防犯カメラでは主に映像データを録画したり、ネットワークを通じて映像を送信したりする際のデータ量を示します。
基本的にはビットレートが高いほど、映像に多くのデータを使用できるため、高画質な映像を維持しやすくなります。
ただし、ビットレートを高くすると通信量や録画データの容量も増加します。
そのため、防犯カメラでは単純にビットレートを高く設定するのではなく、カメラの解像度やフレームレート、映像の圧縮方式、録画期間、インターネット回線などに合わせて設定することが重要です。
bps・Kbps・Mbpsの違い
ビットレートでは、データ量の大きさに応じて「bps」「Kbps」「Mbps」などの単位が使用されます。
| 単位 | データ量 |
|---|---|
| 1bps | 1秒間に1bit |
| 1Kbps | 1,000bps |
| 1Mbps | 1,000Kbps=1,000,000bps |
例えば「2Mbps」に設定された防犯カメラの場合、1秒間に約200万bitの映像データを扱うことになります。
また、「Mbps」と「MB/s」は異なる単位です。「b」はbit(ビット)、「B」はByte(バイト)を意味し、1Byte=8bitです。
そのため、ビットレートから通信量や録画容量を計算する場合は、bitとByteの違いにも注意する必要があります。
データの通信?通信量って何?
通信量はデータの量を示す単位の一つで、バイトで表されます。
スマートフォンやパソコンを使って、動画を視聴したり何か検索したりする際にデータの送受信が発生します。その送受信の容量のことを通信量と呼びます。
防犯カメラの場合でもスマホやパソコンと同様に、映像をクラウド上のサーバーに送信したり、手元の端末で視聴するために受信したりと、通信量が必要となります。
防犯カメラ、とくにIPカメラやクラウドカメラがどれくらいの通信量を必要とするかは、把握しておきましょう。
通信量の目安
通信量を算出するためにはビットレートと1日あたりの通信時間が必要となります。
1ヵ月あたりの通信量を計算する場合、
1ヵ月の通信量(MB)=ビットレート(Mbps)×1日あたりの通信時間×30日÷8
という計算を行います。
※最後に8で割ることで単位をバイトにし(8ビット=1バイト)、計算結果をMB(メガバイト)で得られます。
目的に合わせた画質・ネット契約が必要
昨今は、光回線で100Mbpsの通信が可能な回線がほとんどです。ADSL回線やポケットwi-fiなどであれば容量が少ない・不安定なため注意が必要です。
また、防犯カメラの通信をする際は基本的にのぼり回線が重要です。SIM通信を使ったシステム構築の場合は、のぼりに特化した回線を選びましょう。
ネットワーク回線を選ぶ際のポイント
ネットワークカメラの回線を選ぶ際のポイントは主に3つです。
通信量の把握
ネットワークカメラの通信量は画質と音声の有無で決まります。
1080p(フルHD)の解像度では約8Mbpsの速度が必要で、1時間の撮影で約3GBの通信量がかかります。
高画質や長時間の撮影ではさらに通信量が増えるため、必要な通信量を正確に把握することが重要です。
安定した利用には光回線がおすすめです。下記は参考の値ですが随時アップロードするので変動する場合があります。
| タイプ(解像度) | フレームレートが約30fps時に必要なビットレート |
|---|---|
| 2160p(4K) | 35~45Mbps |
| 1080p | 8Mbps |
| 720p | 5Mbps |
| 480p | 2.5Mbps |
上り速度の確認
ネットワークカメラは映像をアップロードし続けるため、上り速度が重要です。
下り速度よりも上り速度が高速な回線を選ぶようにしましょう。
通信速度の制限確認
回線事業者によっては、一定の通信量を超えると速度制限がかかる場合があります。
月初は問題なくても月末に録画が見れない・できない等の可能性があるため、通信制限の有無を確認し、安定した接続が維持できる回線を選ぶことが大切です。
これらのポイントを考慮して、最適なネットワーク回線を選びましょう。
防犯カメラには「メインストリーム」と「サブストリーム」もある
ネットワークカメラの中には、「メインストリーム」と「サブストリーム」という複数の映像配信設定を利用できる製品があります。
メインストリームは、高い解像度やビットレートで映像を配信するメインの映像データです。高画質での録画や、細部まで確認したい場合に使用されます。
一方、サブストリームは、メインストリームよりも解像度やビットレートを低く設定した映像データです。スマートフォンやパソコンからインターネット経由で映像を確認する場合など、通信量を抑えたい場面で使用されます。
例えば、録画には高画質なメインストリームを使用し、外出先からのライブ映像確認には通信量の少ないサブストリームを使用するといった使い分けができます。
実際にネットワークカメラでは、メインストリームとサブストリームそれぞれに解像度やフレームレート、ビットレートを設定できる製品があります。
| メインストリーム | サブストリーム | |
| 画質 | 高い | 低め |
| ビットレート | 高め | 低め |
| 通信量 | 多い | 少ない |
| 主な用途 | 録画・高画質確認 | 遠隔監視・ライブ表示 |
| メリット | 細部を確認しやすい | 通信負荷を抑えやすい |
特に複数台の防犯カメラをインターネット経由で確認する場合、高画質なメインストリームをすべて同時に表示すると、回線に大きな負荷がかかることがあります。
遠隔監視時に映像が途切れる、表示に時間がかかるといった場合には、サブストリームを利用することで改善できる可能性があります。
※メインストリーム・サブストリームの名称や設定可能な項目は製品によって異なります。
【豆知識】ビットレートの種類
ビットレートはただ単に通信量を表すだけでなく、いくつか種類があります。
| 映像ビットレート | 映像1秒間に対してのデータ量を表します。 映像ビットレートを算出する計算式は、 映像ビットレート=解像度×RGBデータ量(色の情報量)×フレームレート(1秒間の画像枚数) 映像ビットレートが高いほど映像はきれいになりますが、データ量が増えるデメリットがあります。 |
|---|---|
| 音声ビットレート | 音声1秒間に対してのデータ量を表します。 音声ビットレートを算出する計算は、 音声ビットレート=サンプリングレート(1秒間の処理回数)×ビット深度 映像ビットレートと同様に、音声ビットレートが高いほど音質は良くなりますが、データ量が増える点がデメリットです。 |
| オーバルビットレート (映像+音声) |
オーバルビットレートは、映像ビットレートと音声ビットレートの合計値です。 |
| 固定ビットレート (CBR) |
固定ビットレートは、動画や音声のエンコードに使われるビットレートのひとつです。「CBR(Constant Bit Rate)」とも呼ばれます。 動画の情報量にかかわらず同じデータ量でエンコードするので、圧縮後のデータ量が一定になります。 圧縮後のデータ量を予測できるというメリットがありますが、動画や音声の情報量が多い部分も少ない部分も同じビットレートでエンコードするため、エンコードされた動画の画質や音声の音質が不安定になる場合があります。 |
| 可変ビットレート (VBR) |
固定ビットレートと同じく、動画や音声のエンコードに使われるビットレートのひとつです。「VBR(Variable Bit Rate)」とも呼ばれます。 動画や音声の情報量に応じで圧縮率が変わるので、全体的に画質や音質が良くなりますが圧縮完了するまでデータ量がわからないのがデメリットです。 |
| 平均ビットレート (ABR) |
平均ビットレートは、動画や音声のエンコードに使われるビットレートのひとつです。「ABR(Average Bit Rate)」とも呼ばれます。 動画や音声データの情報量にかかわらず同じデータ量でエンコードする点は固定ビットレートと同じですが、可変ビットレートでエンコードした場合の平均値に近くなるよう、データ量が調整されます。 |
| 最大ビットレート (MBR) |
最大ビットレートは、動画や音声のエンコードに使われるビットレートのひとつです。「MBR(Maximum Bit Rate)」とも呼ばれます。 ビットレートの上限を決め、その範囲内で必要に応じてビットレートを変化させる、固定や可変の合わせ技のような制御方法で、平均ビットレートに近い動作が行われます。 |
| アダプティブビットレート (ABR) |
アダプティブビットレートは、ストリーミング配信で使われるビットレートのことで「ABR(Adaptive Bit Rate)」とも呼ばれます。 略称で記載すると平均ビットレートと同じ表現になってしまうので注意が必要です。 アダプティブビットレートは通信環境に合わせ自動で動画や音声コンテンツの画質を調整してエンコードすることが可能です。 |
防犯カメラのビットレートについてよくある質問
ビットレートは高いほど良い?
ビットレートは、高くすれば必ず良いというものではありません。
ビットレートを高く設定すると、映像に使用できるデータ量が増えるため、動きの多い場面や細部を記録する場合に画質を維持しやすくなります。一方で、ビットレートを高くするほど通信量や録画データ容量も増加します。必要以上に高く設定すると、インターネット回線を圧迫したり、HDDに保存できる録画日数が短くなったりする可能性があります。
防犯カメラでは、画質だけでなく「必要な録画期間」「使用する回線」「カメラ台数」などを考慮して、用途に合ったビットレートを設定することが重要です。
200万画素の防犯カメラなら何Mbps必要?
200万画素(1920×1080)の防犯カメラでも、必要なビットレートは一律ではありません。
同じ200万画素でも、
①フレームレート(fps)
②H.264・H.265などの圧縮方式
③CBR・VBRの設定
④撮影している場所の動きの多さ
⑤必要とする映像品質
などによって必要なビットレートは変化します。
200万画素・フルHDの防犯カメラでは、1~4Mbps程度が設定範囲・使用例として見られますが、あくまで目安です。実際に2MPのネットワークカメラでも、製品によって256Kbps~4Mbpsのように幅広い設定範囲が用意されています。
「200万画素だから○Mbps」と画素数だけで決めるのではなく、使用するカメラの推奨設定や、必要な録画品質を確認して調整しましょう。
H.265にすると通信量は減る?
H.265は、H.264よりも圧縮効率の高い映像圧縮方式です。
同程度の映像品質を維持する場合、H.264よりも少ないビットレートで映像を配信できるため、通信量や録画データ容量を抑えられる可能性があります。H.265対応カメラは、長期間録画したい場合や複数台のカメラを使用する場合にも有効です。
ただし、実際にどの程度データ量を削減できるかは、カメラの性能や撮影環境、フレームレート、映像内の動きなどによって異なります。
また、録画機や閲覧ソフトなど、映像を確認する側の機器がH.265に対応しているかも確認しておきましょう。
防犯カメラを4台設置する場合、回線速度はどう計算する?
複数台の防犯カメラから同時に映像を送信する場合は、基本的に各カメラのビットレートを合計して考えます。
例えば、1台あたりのビットレートを2Mbpsに設定したカメラを4台使用する場合、
2Mbps × 4台 = 8Mbps
となり、4台すべてが同時に映像を送信すると、単純計算では約8Mbpsの通信帯域を使用します。
ただし、実際の通信では映像以外のデータ通信も発生し、VBRを使用している場合は映像の内容によってビットレートも変動します。
そのため、必要な回線速度を検討する際は計算上の数値ぴったりではなく、余裕を持った通信環境を用意することが重要です。
また、防犯カメラからインターネット上へ映像を送信する遠隔監視では、回線の「下り速度」だけでなく、カメラ設置場所側の上り速度も確認しましょう。
ビットレートのまとめ
ビットレート(bps)とは「1秒間に転送または処理できるデータ量」のことを指します。
ビットレートが高いことは、メリットにもデメリットにもなります。
目的に合わせて、適切にビットレートを設定したり、インターネット契約したりする必要があります。