夜間でもカラー撮影! カラー暗視カメラがもたらす新しい活用方法
暗視カメラは、暗闇や夜間など、暗い場所でも映像を捉えられるカメラです。一般的には夜間の店内や倉庫などの防犯/監視カメラとして使われていますが、これまではモノクロの映像しか捉えることができませんでした。しかし、シャープが新しいCCDを開発したことにより、この暗視カメラにカラータイプが登場しました。暗い場所での撮影がカラーで行えると、いままでは難しかったことが可能になります。どのような場所や用途に使えるかをご紹介します。
不可能を可能にする、カラー暗視カメラ
これまでも、暗闇で利用可能な防犯/監視カメラはありました。しかし、冒頭で触れたとおり、モノクロの映像しか扱えませんでした。もちろん、モノクロの映像でも侵入者の有無を確認したり行為の様子を見るには問題はありません。しかし、モノクロの映像では得られる情報が限られます。たとえば、着ている服や逃げる際に使った自動車の色などを判断することはモノクロ映像では難しく、盗難などの被害が発生しても十分な情報が得られないことも多くありました。
防犯/監視カメラの映像がカラーで得られれば、これらの判別は一目瞭然です。これにより、犯人の特定や検挙は一層とスピーディになることが期待できます。
この他にも、現場が暗いままの状態でありながらカラー映像が得られれば、これまでは不可能だった用途にも防犯/監視カメラが使える可能性が出てきました。カラー暗視カメラの用途として期待できるのは、まずは福祉分野への導入です。特に病室の監視カメラとしてカラータイプは有用でしょう。これまでのモノクロの暗視カメラでは、夜間になって照明を落とされた病室内の状態を詳しく確認することはできませんでした。しかし、カラータイプであれば、患者の皮膚や顔の色まで含め、全体的な状況が一目で確認できます。これにより、今まで以上に安全かつ安心で充実した医療サービスが期待できます。
もちろん、これは動物の飼育施設や農作物を栽培するビニールハウス内などにおいても同様です。映像がカラー化されることによって得られるメリットには、従来の暗視カメラの常識を覆す力が感じられます。
光がない場所を暗い状態のまま、カラーで見る
シャープが開発したカラー暗視カメラの映像素子(CCD)は、暗闇(0ルクス)の環境下でカラー撮影が可能なものです。このCCDは、撮影の対象物に対して照射した近赤外光の反射を捉えます。人間の目に見えない近赤外線は、人間が日頃目にしている光の反射とは光の波長が全く異なります。このため、反射された近赤外線も人間が日頃認識している色の感じと大きく違うことになります。この反射を分光し、人間が見て違和感のない色あいにするために試行錯誤の末に完成したのが、新しいCCDです。
新しいCCDを採用した防犯/監視カメラは、完全な暗闇の状態でもカラー映像の撮影が可能です。このため、一般的な夜間撮影はもちろん、いろいろな理由があって光を当てられない対象物に対しても、暗い状態のままでカラー撮影が可能になります。暗い状態を保持したままカラーで現場の確認や録画ができることは、光に対して敏感な動物や植物の監視にとても向いています。たとえば、光によるストレスが勝負を左右する競走馬やミルクの生産量に影響がある乳牛などの監視にはピッタリでしょう。また、光によって収穫期をコントロールする電照栽培を行っている作物などのチェックにも利用できそうです。
カラー暗視カメラは、サイズが小さなことも大きな特長です。カラー暗視カメラでは、3つのセンサーを使った3板式もあります。これは、製品としての防犯/監視カメラがコンパクトになることを意味します。また、構造的にもシンプルなので製造がしやすく、トラブルも出にくいと考えられます。これは、確実な動作が求められる防犯/監視カメラにとって重要なことです。
この新しいカラーCCDによって、防犯/監視カメラがカバーできる導入範囲がよりいっそう広がることが期待されています。